植木/整枝・剪定の基礎知識 top
       枝の切り方からはさみの使い方まで

剪定例    参考書籍;船越亮二著「花木、庭木の整枝・剪定」
  
はじめに  ここでは整 枝・暫定の基本を説明します。
●身だしなみをととのえてから作業をする
 庭先の木を切るのだからと、サンダルばきに、 はさみを持って、というような安易な気持ちで、 剪定作業を行うと、足元がぐらつき、小枝で目 を突いてしまったというような、思わぬ大事故 にあったりする。整枝・剪定作業を行うときの 理想としては、そで口やすそにすき間があると、 それに枝などがひっかかってけがをすることが あるので、手甲やきやはんか地下足袋をはくよ うにする。一般家庭では、そこまで準備するの はたいへんであるが、少なくても、機敏に作業 できるよう運動靴くらいははくようにする。ま た、落下物に対し、頭と顔面を保護するため、 ヘルメットをかぶることもたいせつである。手 の保護として手袋も欠かせないが、こまかい枝 先などの剪定では、手袋をはずしてやらないと 必要な枝まで切ることがあるから注意する。
●樹形をととのえ、健全な生育をはかる
 整枝・剪定の目的は、日当たりや風通しをよ くして、丈夫な木を育てるとともに、新しい芽 を吹かせることで、木を若返らせてやるととも に、限られたスペース内で、周囲との調和をは かりながら、一定の大きさの樹形を維持させる ことで、いつまでもととのった、美しい庭を楽 しむようにすろことである。
用具 @植木ばさみ=主に小枝を切るのに使う。
A剪定ばさみ=バネがついているので、植木ば さみで切れない大技でも楽に切れる。
B刈り込みばさみ=庭木や生け垣などの刈り込 みに使う。
C高枝切りばさみ=高いところの剪定に便利。
D枝切りのこぎり=太い枝や幹を切るとき使う。
Eナイフ=挿し木、接ぎ木、取り木、その他、 幹や枝を削ったり切ったりするとき使う。
Fスコップ=土を掘り起こしたり、根鉢を切っ たり、土や肥料などを運ぶとき便利。
Gくわ=土を掘り起こしたりするとき使う。
Hレーキ=土をならしたり、小石、落ち葉、ご みなどを、かき集めるのに使う。
R鎌=草刈りに必要。
J噴霧器、高枝用ノズル=薬剤散布に使う。
K脚立=高いところで作業するときに必要。
枝先の切り方  植木ばさみか剪定ばさみを用いて切るが、生 け花に使うような刃肉の厚いはさみや、よく刃 のついていないはさみでは、切り口がつぶれた り割れたりするので、はさみはよくといでおく ことが、作業も楽で、木のためにも必要である。  切る位置は、芽の上で切るようにするが、探 切りや浅くならないよう、芽の上を45度くらい の角度で、芽先を切ったりしないよう、芽の上 を少し残すように切るのが理想的である
内芽と外芽  芽は普通、節のところにつき、同一節の左右 につくものを「対生」、左右交互につくものを 「互生」と呼ぶ。これら芽のうち、幹の側につく ものを「内芽」、幹とは逆の側につくものを「外 芽」という。一般に内芽は樹冠内に枝を伸ばす ので、採光通風を悪くするため、枝は外芽をよ く伸ばすようにし、採光通風をはかるようにす るのが普通の切り方である。樹形としても、外 芽を伸ばしたほうが美しくととのう。
どの枝を間引くか  次のような枝を間引く。
@胴吹き枝、ヤゴ枝=必要以上に養分を要求し、 そのままにしておくと上枝に影響する。
A車枝、平行枝、閂枝=美観上不釣り合い。
Bふところ枝=このような枝には、開花結実は 望めず、放置しても2〜3年で枯れてしまう。
 このほか、隔年結果を防ぐ目的で、花芽のある 枝を調節したり、病気におかされているものや、 大きな傷のある枝なども不要枝として間引く。
強い枝を伸ばしたいとき  枝は放任すると先に伸びていき、幹から遠ざ かるにつれてこまかい枝となり、開花結実が悪 くなる。このような枝になったときは、一度幹 の近いところで太い枝を切り詰め、あらためて 強い枝が出るよう、枝の更新をはからなければ ならない。枝は弱く切ると、新しい枝は短く、 強く切ることで新しい枝は、長くて強い枝にな るから、伸ばしたいときには強く切り、枝を長 くする必要のないときは、弱く切るようにする。
太い枝の切り方  太い枝は、植木ばさみや剪定ばさみで切るこ とができないので、のこぎりで切る。正式には、 枝の太さにより、のこぎりの大きさも違うが、 一般の家庭では、折りたたみ式のこぎりがあれ ば十分である。のこぎりで切る場合、上から一 気に切り下げていぐと、最後の部分が、切り落 とされる枝の重みで裂けたりして、幹の部分を 傷つけたりすることがあるので、2〜3回に分 け、順々に切り詰めるようにする。
切り口の処理  枝を切った場合、そのままにしておくと、切 り口から腐敗菌が入って腐ったり、枯れたりす ることがあるので、切り口は適切な処置が必要 である。特に、のこぎりで切ったところは、表 面がざらついているので、鋭利なナイフかのみ できれいに削り、さらにその部分に防腐剤(接 ぎ木ボンド、カットパスター、カルスメイト、 ペンキなど手軽に使えるものが市販されている) を塗って保護しておきたい。
 なお、サクラ、モミジは3センチ以上の切り 口を処理しておかないと必ず後で枯れ込む。
ヤゴ枝の処理  根元の地ぎわから出る枝をヤゴ枝という。この 枝を放任しておくと、養分がこの枝にとられて、 ほかの枝がだんだん弱くなってしまう。ヤゴ枝 は、正常な生育をしている木にはほとんど出な いが、土質が悪かったり、病害虫などで樹勢が 弱るとよく出る。特にサクラ、ザクロ、ナツメ などにはよく出る。切りとりは冬期。安易に切 りとっておくと、翌年も発生するので、少し土 をとり除き、つけ根からきれいに切りとる。
しだれものの切り方  枝が萌芽したところから下に伸びろものを、 しだれ性と呼んでいる。前述の外 芽と内芽が、一般の枝とは逆になるが、幹から 見る芽の位置には変わりない。一般の枝と同じ ように、内芽で切っていくと、樹形に丸みがで きないため、みにくい樹形になってしまうので、 必ず外芽で切り、傘を広げたような形にととの えるのが理想と言える。  しんは中心の強枝に支柱を添えて伸ばす。
高いところの枝の切り方  高いところは、脚立を立ててそれに上って切 るが、今日では、長い柄やひものついた高枝剪 定ばさみやのこぎりがあるので、幹から出てい る枝には、これらの道具を使うと便利である。 しかし、太い枝やしんを止めるときは脚立を使 わなければならない。脚立は危険防止のため、 完全に固定しておく。また大きな枝などは、他 の枝と縄で結んでおき、直接地面に落ちて、下 の樹木を傷めないような配慮が必要である。
 なお、脚立を立てる場所がないときに、2メートル 以上の樹木に上って剪定するときは、必ず「安全ベルト」 で樹木の幹に自分の体を固定して行う。
しんの立て方  玉仕立て以外、ほとんどの樹形ではしんが必 要であるが、普通の木の場合、項部の枝が元気 よく伸びるので、特にしんを立てるということ はしなくてよい。ただ、せっかく仕上がりつつ あるしんが、風雪や人畜によって折れてしまう 場合は、しんの立て直しが必要となる。立て方 は、折れた部分の近い枝を元気よく伸ばしてし んとする。しだれものは、枝を支柱に添えて伸 ばし、しんとしていく。
小枝の曲げ方  細い枝は、普通しゅろ縄で引き下げるが、や や太くなると、細い竹を添えて引き下げる。こ のとき、特に注意したいことは、枝のつけ根を 折らないようにすることで、けっして無理をせ ず、やや無理と思われるときは、枝のつけ根を 細いわら縄かしゅろ縄を密にかたく巻き、保護 する必要がある。このようにして曲げた枝は、 だいたい1年で癖がつき、形ができるが、弾性 のあるマツ類などは2〜3年引いておきたい。
太枝の曲げ方  イヌツゲやウバメガシなどは、曲げる位置に わら縄をしっかり巻きつけるだけにするが、マ ツ類、ラカンマキ、キャラなどは、曲げようと する場所をのみで割り、わら縄を密に巻いて保 護する。この枝をロープなどで目的の形に曲げ、 太い丸竹か丸太を添えて固定するが、太いもの になると、1カ所を曲げるのに1〜2日がかり で徐々に曲げる。こうした枝に癖がつくまで3 〜5年を要するものもある。
  
  (c) Ryouji Funakoshi